アニメ「BLEACH 千年血戦篇」 第16話「THE FUNDAMENTAL VIRULENCE」感想

先週「滑り込みで」とか言って金曜日に感想を投稿していたと思ったら、今週はついに第17話の最速放送までに間に合いませんでした。
第16話の感想です。

原作既読のため、物語の感想よりもアニメで追加されたシーンや演出に関する感想がメインになります。
先の展開と関連作品「BURN THE WITCH」のネタバレが含まれますのでご注意ください。


第16話「THE FUNDAMENTAL VIRULENCE」

アバンタイトル

副隊長 VS 聖兵

副隊長たちもそれなりに苦戦しているところを見ると、やはり雑兵としてはだいぶ強いですね、聖兵。

射場さんの斬魄刀は鍔がなくてドスっぽいとは認識していたものの、封印状態の形状がドスそのものなのは初めて知りました。ここで初披露? (他にどこかで出ていたか記憶にない)
そして何故この状況で始解しないのか。

サブタイトル表示

今回は黒背景に文字のみというシンプルな表示ながら、「#」を「1」の中に表記しているのがデザイン上のアクセントになっていました。


マユリの個人研究室

「煌々仕様」ってわざわざ名前付いてるんかい (笑)
マユリの衣装が研究室内では虹色に発光しているのも、思わず「何の意味が……?」と問いたくなる謎具合。

滅却師にとって虚は毒になるにもかかわらずキルゲがアヨンを吸収していたことについて、小説「Can't Fear Your Own World」I巻のP155では「一度完全に分解することで無害化して取り込める」と言及されていましたが、今回「アヨンを吸収して姿が変化したのは虚の力を扱い切れていなかったため」と補足説明を入れ、浦原が滅却師の弱点に気付いたのはそれを見たのがきっかけだったという流れにしたのは良い補完でした。

原作では名前と用途が出ただけだった「改造蟲」のビジュアルと実際に改造を行なっている様子が描写されたのも嬉しい。


砕蜂&大前田 VS BG9

BG9が砕蜂からデータを採取しようとしている時に展開していたカーテン状の翼 (?) 、神聖弓のように空気中の霊子を固めて構成する類の装備であったことを初めて知りました。
(原作にも翼を解除する瞬間が描かれてるのに気付いてなかった)

雀蜂雷公鞭は発射の瞬間をアングルを変えて3回描写するという映像媒体ならではの力強い演出になっていて、着弾・爆発のシーンも辺り一帯を照らす爆炎の赤々とした色彩とズドンと響く爆発音が合わさって卍解に相応しい大迫力でした。


日番谷 VS 蒼都

蒼都版の大紅蓮氷輪丸のカラーリングは旧アニメの劇場版2作目に登場した草冠の氷輪丸を彷彿させますね。

日番谷 VS 蒼都は、攻撃が当たる瞬間や会話中など、所々で絵を止めたり飛び散った氷の破片の動きをスローにしたりと「静」の演出が入ることでアクションのスピード感が際立っていて見応えがありました。
原作の戦闘シーンを忠実に再現しながら高いクオリティで映像化してくれていて嬉しい。

蒼都が放った爪状の氷の攻撃が日番谷の手前で止まるシーンが爽快で好きです。

気になった点:氷輪丸の本体

日番谷の精神世界の氷輪丸 (氷の竜) に手足があって、「氷輪丸って手足ないタイプの竜じゃなかったっけ?」と思いましたが、始解時は手足なしで卍解時はこの姿ということなんでしょうか。

斬月のおっさんの場合は卍解中は若返り、Klub OutsideのQ&A 151.によると野晒の卍解の具象化であるやちるが始解の野晒より幼い人格をしているのもそれと同様の現象であるらしいのに対し、氷輪丸の場合は若返っているわけでもないようで謎。

指の本数で「氷輪丸=童話竜」説の真偽が判断できるかと思ったらギリギリで指の本数が分からない描き方になっていて、分かっててやってそうな感。
(個人的には、シンデレラが羽化する前も6本指だったことから「姿が変化するタイプの童話竜でも6本指でない形態にはならない」と予想していて、手足なし形態のある氷輪丸は童話竜ではないと考えています。童話竜でないドラゴンである可能性までは否定できませんが)

気になった点:侵影薬の副作用

アイキャッチにも「副作用として虚のような仮面が現れるような場合がある」という記述があったように、侵影薬摂取後の日番谷は顔の一部が氷の仮面に覆われ、声にもエコーが掛かっていました。
一方、砕蜂や平子の声にはエコーなし。

声にエコーが掛かった演出になるということは、卍解が虚化するだけでなく、卍解を介して本人の魂魄にまで虚の力が入り込んでいるということでしょう。
原作も含めて日番谷以外の隊長に虚化の症状が出ていないのは単に体質の差なのか、何か理由があるのか。

久保先生が日番谷の虚化した姿を描きたくなっただけという可能性もなくはないかもしれないし、東梢局の虚≒西梢局のドラゴンであることと関連付けたくなってしまう気もします。なんも分からん。


平子 VS 聖兵たち

PV第3弾が出た時にも話題になった平子の卍解シーンがついに。
効果発動前に金色の蕾の頂点から周囲にピンク色のガスのようなものを撒いているので、始解と同様に発動のトリガーは「匂い」なのでしょうか。

尺は意外と短めだったものの、見る前まで「『同士討ちさせる能力』って映像にして格好良くなるのだろうか?」などと考えていたのは杞憂で、直前まで平子を狙っていた聖兵たちが突然同士討ちを始めることの異様さが充分に伝わる演出になっていました。
最後に平子が一太刀加え、シルエットで描かれた聖兵たちが倒れるという幕引きの演出も格好良かったです。


一角&弓親&檜佐木 VS マスキュリン

原作では裏側でいつの間にか終わっていた戦いが映像化。
珍しく複数人で連携しての戦いだったり、久保先生はあまりやらなさそうなプロレスネタを絡めた台詞があったりと新鮮でした。

ジェームズがマスキュリンのパワーアップの要になっていることは拳西とローズが到着するまでは伏せておきたいはずなので、この戦いは今回限りですかね。
マスキュリンに一撃を与えたところで場面転換しているので、次にこちらに視点が戻ってきた時にマスキュリンがけろりとしていて一角たちが倒されていたら少し違和感が出そうではありますが。

前回の侵攻時には「卍解できるのは隊長だけ」だと思い込んでいたマスキュリンが一角 (と弓親) に「持てる力を隠していては〜」と指摘しているのは、エス・ノトに言われた通りにちゃんと情報 (ダーテン) を読み直したということなんでしょうか。(笑)

考察:侵影薬が弓親の元にも届いていた件について

弓親が卍解を習得していないなら、わざわざ弓親の元に侵影薬が届いた描写を入れる意図が分かりませんが、弓親には明確に侵影薬が作用している描写も作用していないと判断できる描写もなく、どちらとも断言はできない描き方でした。
視聴者に「弓親も卍解習得したのか?」と思わせようとはしていそう。

弓親の台詞の意図

弓親の「これでもう卍解を奪われる心配はないってことだね。反撃といこうか」という台詞の意図について。

弓親が卍解を習得している場合、「奪われる心配がなくなったなら、僕らも卍解して反撃しよう」の意に聞こえます。
ただ、弓親は一角が卍解を隠したがっているのを知っているので、一角に卍解を促すようなことを言うのはやや不自然かも。

弓親が卍解を習得していない場合、「卍解を奪われる心配がなくなったなら、ここからは死神側が反撃する番だね」の意でしょうか。
弓親自身に直接の影響はなくとも、死神側が有利になったとは認識するでしょう。

弓親は卍解を習得しているか

弓親が「卍解を習得しているが、そのことを一角に隠していた」場合、今回侵影薬を吸収できて一角にバレてしまい、弓親の卍解について話題に上がるはずなので、この可能性はないでしょう。
可能性としては「卍解を習得していない」か、「卍解を習得していて、そのことは一角にも話している」のどちらかに絞られるはずです。

始解の瑠璃色孔雀が鬼道系であることから、弓親は卍解も鬼道系になると考えられます。
その場合、弓親は卍解を習得したことを一角に話す前に
  1. 卍解も藤孔雀のように直接攻撃系に偽装して運用できる方法を身につける
  2. 能力を隠していたことを一角たちに打ち明けられるようになる
……のどちらかが必要になりそうです。

しかし、ただでさえ始解よりも制御が難しい卍解で1.のような器用な真似ができるのかについては少し疑問ですし、原作に描かれていないところで弓親が2.の葛藤を乗り越えていたと言われても突飛です。

ということで、弓親は卍解を習得していないに1票。

侵影薬の送り先

分かっていることを整理すると、

  1. 阿近の指示は「全隊長・副隊長の位置座標を特定しろ」(→ 言葉通りに受け取れば弓親以前に一角の元に侵影薬が届くのもおかしい)
  2. 阿近は一角の卍解を修理させられたことがあるので、阿近は「全隊長・副隊長」という条件だと一角には侵影薬が届かないことを把握しているはず
  3. 1.&2.にもかかわらず、実際には一角の元に侵影薬が届いている

位置座標を特定する対象が「全卍解習得者」ではなく「全隊長・副隊長」だったのは、阿近以下技術開発局の局員たちが卍解習得者全員を把握しておらず、その状況でも卍解習得者全員をもれなくカバーできるような広い条件でサーチする必要があったからではないかと思います。
マユリは全隊士の卍解を把握していますが、状況が状況とはいえ局員たちにそのデータを触らせるかというと微妙ですし。

阿近の指示が「全隊長・副隊長の〜」、局員の報告が「隊長格各位の〜」と表現が異なり、阿近の意図はともかく局員は「隊長格」の位置座標を特定したようです。
一角と弓親にも侵影薬が届いた理由をシンプルに考えるなら、転界結柱の防衛要員に選ばれるなど副隊長相当程度の戦闘能力はあるとみなされているらしいことから彼らも「隊長格」に含まれている、という辺りが妥当ではないでしょうか。


侵影薬について:その他

「仮面の軍勢」に侵影薬は必要か

Klub OutsideのQ&A 339.にて、一護の卍解がメダリオンで奪えなかったのは天鎖斬月に虚が混ざっていたためだと判明しています。
平子たち仮面の軍勢は魂魄に虚が混ざっているだけで斬魄刀自体は通常の斬魄刀であるはずなので、私見としては「仮面の軍勢にも侵影薬は必要」だと考えています。

卍解と虚化を併用したら侵影薬なしでも卍解に虚の力が混ざる可能性はありますが、こちらについては作中で一護以外に「普通に卍解した状態」と「卍解と虚化を併用した状態」が両方描かれたキャラがいないので何とも言えません。

霊王宮組

エス・ノトのメダリオンから白哉の元へ卍解が帰っていく描写がありましたが、王鍵がないと入れない霊王宮に侵影薬が転送できているのはどういう仕組み……?


バンビーズ

バンビエッタがぼっちになる前のシーンに他の4人が後ろを歩いている描写が追加されていてちょっと笑いました。

原作にもあった「後方にいる護廷隊士を爆発させる」シーンが「不要になったメダリオンに能力を込めて投げつけて爆発させる」という描写になっていたのは面白いアレンジ。


平子 VS バンビエッタ

平子が逆撫でバンビエッタを翻弄する描写が原作よりも盛られていました。
BGMがやたらとお洒落だし、「独りぼっちやったっけか?」と煽りもキレキレ。
先程の卍解に続いてかなり真っ当に活躍している印象になっていて、これなら完聖体バンビエッタの攻撃で退場しても「登場してすぐにやられた」感はなくなりそうです。
ちなみに逆再生部分はNetflixの字幕だと「(逆再生で)」という注釈つきで普通に台詞が読めました。

狛村を先に行かせるくだりが追加されたのは、単に平子 VS バンビエッタに狛村が介入してこないことへの理由付け?

完聖体発動

死神側の卍解奪還に対し、滅却師側も切り札である完聖体を発動。
せっかくなので原作で名称が出なかった完聖体の名前が判明したり、蒼都とBG9も敗北者として処断される前に完聖体で第2回戦があったりしませんかね。

……蒼都の相手だった日番谷と乱菊は既にジジの手に落ちていますし、砕蜂は満身創痍だしで戦えそうな相手が思い当たりませんが。

光の柱の色

※2023/08/05追記:これについては第17話の感想記事で再考しています。

光の柱が立ち上るシーンでは左から黄色・紫・赤・緑・茶色・オレンジが、Bパート最後の玉座の間からの視点では左から白・黄色・茶色・黄緑・赤・ピンク・オレンジが確認できます。
個別に描写された蒼都は青色、BG9は……これ、何色と言えばいいんでしょう。白? オリーブ色?

赤はバンビエッタ、緑はロバート (第1クール放送当時はキルゲと同じ水色でしたが、BDと現在の配信では差し替え済み) で確定なので、誰のものか不明なのは黄色・紫・茶色・オレンジ・白・黄緑・ピンクの7つ。

プチ考察:どの色が誰の完聖体か

光の柱は離れた場所から1本ずつしか上がっていないので、一箇所に集まっているバンビエッタ以外のバンビーズ4人については全員が完聖体を発動しているわけではないはずです。

誰か1人から光の柱が上がっているとしたら、原作で「共鳴してハネ出ちった」という発言があるキャンディスでしょう。

今回の侵攻時に生存していて、バンビーズ・蒼都・BG9・親衛隊以外で完聖体が使えるメンバーはナックルヴァール、エス・ノト、バズビー、ペペ、マスキュリン、ナジャークープの6人。
ここにバンビーズで唯一光の柱が出ていたと推測したキャンディスを加えれば7人になります。

7人と7色を対応させてみると、オレンジがバズビーで黄緑がキャンディス……まではいいとして、紫とピンクはナックルヴァールとエス・ノトとペペのうち誰か2人、黄色がマスキュリンで茶色がナジャークープ?
白にしっくり来るキャラは思いつきませんでした。

あとは答え合わせを待ちます。

おまけ:キルゲの完聖体の色

霊子兵装のほとんどが霊子そのものの色と思われる水色なのに対し、完聖体の色は個々人の能力の性質などが反映されてかそれぞれ異なります。
キルゲの「神の正義」がいわば滅却師の力のデフォルトカラーのような「水色」だったのは、「神の正義」には滅却師としての基礎能力を高める以外の特殊効果がないことを表しているのかな、などと想像。


Cパート:一護 in 不入参道

霊王の記憶

参道を進んでいく一護の脳内に、霊王の記憶と思しきイメージが流れ込んできていました。
「不入参道」、霊王の精神世界に通じていたりするのでしょうか。

浅瀬のような場所に立つ男が霊王で、3本の矢と杖のような神器?を使って三界を分立させた後に四肢を切断され、水晶に封印されるという場面のよう。
原作の一護も設定上は同じ工程を踏んでいたのだとしたら、一護は霊王の正体を知った上で戦っていたのだろうか、という部分が気になります。

一護に宿る力

一護に何らかの力が宿り、更に重圧が増すという描写がありました。
前回の感想で「名枯れも果てて声もなし」という文言から「重さを感じるのは徐々に名を奪われていくから」ではないかと予想したのは外れだったようで、そうすると「名枯れ」って何のことなんでしょう。

和尚が一護を霊王にしようとしていたことは小説で語られていたにせよ、実際に霊王としての素質が目覚める一歩手前まで来ていたとは流石に予想していなかったので、最後のカットで一護の目に霊王と同じ4つの虹彩が浮かんでいたのは中々衝撃的な絵面でした。

「名枯れも果てて〜」の解釈 (2023/08/12追記)

「始まりありて終わりなし 名枯れも果てて声もなし」は霊王のことを言っているものとして解釈できそうです。

始まりありて終わりなし → 「始まり」は「霊王になること」、「終わり」は「霊王でなくなること」で、「一度霊王となった者は永遠に霊王であり続ける」の意。もしくは、「始まり」は「霊王の擁立による三界の始まり」、「終わり」は「霊王の消失による三界の終わり」の意で、「(霊王の代替わりはあったとしても) 三界の存続のため、霊王と呼ばれる存在を途絶えさせることはない」の意。

名枯れも果てて声もなし → 霊王となった者の個人としての名は世間から忘れ去られ、その名を呼ぶ声はない、の意。

……というような。
前の解釈よりはそれらしい気がしますが、どうでしょう。


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第16話の感想は以上です。
第17話は今日中に見ます。

最近感想を書くのに時間を取られてサイト更新に向けての作業が進んでおらず、そろそろそちらもちゃんと進めたいと思っているので、千年血戦篇第1クールの振り返り感想は書くとしても当分先になりそうです。

(2023/08/05:「完聖体発動 > 光の柱の色」のセクションに注釈を追加&少し表現を修正)
(2023/08/12:Cパートのセクションに「名枯れも果てて〜」の別解釈を追記)

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