アニメ「BLEACH 千年血戦篇」 第25話「THE MASTER」感想

10月初週、季節の変わり目に見事に体調を崩してしまい、放送から3週間弱も経ってからの投稿と相成りました。
こういうの、一度時間が空くと再始動するのが大変ですね……。最終回を迎えた後だったのが不幸中の幸いでした。
まずは第2クール最終回2話連続放送の1話目、第25話の感想です。

原作既読のため、物語の感想よりもアニメで追加されたシーンや演出に関する感想がメインになります。
先の展開のネタバレが含まれますのでご注意ください。


第25話「THE MASTER」

アバンタイトル

霊王宮での戦闘がメインの回ということで、そこに直接的に関係しないシーンはアバンタイトルとCパートに割り振られていました。

アバンタイトルでは夜一の弟・夕四郎が登場し、カットインによる紹介が。
夜一 (と浦原) は今のところタイミングがなくカットインが出ていませんが、ナックルヴァール戦のどこかで出るんでしょうか。

浦原がひよ里の「ネコばばあ」のからかいに被せて次の話をし始める形に改変されていたのは、浦原にはこういう場面で相手を無視するという選択を取るイメージがなかったので個人的には少し違和感がありました。


和尚 VS ユーハバッハ (Aパート)

前話での「喉が潰れても知らんぞ」(前話の感想記事に書き忘れたのでこちらに書く) と今回の「殺すか」のシーンは、原作では背景を黒塗りにして威圧感を出していたのを、霊王宮でのシーンを常に明るめに描いているアニメでは背景はそのままに逆光で兵主部自身にかかる影を濃く描くことで威圧感を出すという方法を取っていて、漫画からアニメへの落とし込み方として面白かったです。

霊王大内裏を背景にした和尚とユーハバッハの激突のシーンはまさに死神と滅却師の頂上決戦といった趣で絵になっていました。


千切れる産褥

突如産褥全体が大きく揺れ動き、上下真っ二つに断裂。
原作で産褥に穴を空けたのがペルニダだったので第25話初見時は反射的にペルニダの仕業かと思ってしまいましたが、直前の台詞からして零番隊の4人の「ユーハバッハと戦わずに済んだ幸運」に対してハッシュヴァルトの「世界調和」が発動し、それに釣り合う不運として産褥が壊れたということのようですね。

今話での曳舟の仕事は千切れた産褥の補修のみでした。
千手丸の台詞で「産褥内では滅却師は霊子を集めにくくなる」という説明が入ったので、直接戦闘には参加していない曳舟も敵にとって不利なフィールドを維持することで間接的に勝利に貢献していた、という形にはなっています。


天示郎 VS ハッシュヴァルト

白骨地獄ボール

天示郎は白骨地獄の湯を巨大な球状にして放つという原作とは少し違う温泉の使い方を披露。
そういえば、斬魄刀が湯かき棒の形状をしているということは温泉を操るのも「金毘迦」の能力なんですかね。
刃が発光することと温泉との間に関連性が見えず、今更ながらに謎。

金毘迦 VS 身代わりの盾

1対1になってからは「金毘迦」を解放した天示郎が得意の歩法を駆使して四方八方から斬り掛かり、ハッシュヴァルトは「身代わりの盾」を手に防戦一方。
天示郎の瞬歩は十三隊最速の砕蜂でも反応できなかったほどなので、それに反応して防げているだけでも流石の騎士団最高位と言うべきかもしれません。
金毘迦の「光る」能力に目眩まし以外の意味があるのかどうかは判明しませんでしたが、めちゃくちゃ速く動ける奴が目眩ましを交えながら死角から攻撃してくるの、それだけでも地味に厄介そうです。

ハッシュヴァルトをアオリで映しているアングル (天示郎の『自慢の盾が割れちまうぜ!』の前) は、美形キャラをあえて鼻の穴が見える角度で描く&それでもちゃんと美形に見えるのがBLEACH度が高く、「ここ久保先生がネーム描いたんか??」とか思いながら見ていました。

決着

ハッシュヴァルトの『割れると思うか?』という台詞は盾にヒビが入ってもその傷を相手に返せることの示唆でしょう。
能力を知らないながらも盾を剥ぎ取ったのは天示郎のファインプレー。

そして、展開としてはこの後 聖別で復活するのが決まっているとはいえ、そのまますれ違いざまの一閃であっさりハッシュヴァルトを破ってみせたのは意外でした。
原作では相性の悪いニャンゾルに苦戦させられていたものの、純粋な斬術でなら恐らく星十字騎士団の全員を上回れるということであり、充分に原作からの名誉挽回を果たしたと言ってよいでしょう。格好良かったです。

余談:「世界調和」の攻略法

正攻法はやはり「発動させる前に一撃でハッシュヴァルトを殺す」になるのでしょうか。
普通に自分の能力でハッシュヴァルトの剣を防いだ蒼都相手にも発動している辺り幸運と不運の基準もよく分からず、ザ・バランスと言いながら何かとハッシュヴァルトに利するように働きがちな理不尽能力という印象なので、発動した後でも破れるような意外な弱点がアニメで明かされてくれたら嬉しいのですが。


千手丸 VS 雨竜

地上戦

左右2本の針で先制攻撃を仕掛ける千手丸。
意外とアグレッシブだし、近接戦闘もいけるタイプの技術職だった……。
しかも、よく見ると一撃目から心臓を刺しに行く軌道です。こわい。

両手を血装で強化して攻撃をいなしていく雨竜は、一撃目の時「向かってくる千手丸の手を手の甲側 (雨竜から見て奥側) に触れて止める」という何だか不思議な受け止め方をしていました。
何だったんでしょう、あれ?

高所戦

飛簾脚で上へ向かう雨竜を追い、どういう原理か普通に飛んでいる千手丸。
雨竜の「光の雨」はアニメ千年血戦篇だけで3回目の使用になりますが、今回は発射時の十字の発光エフェクトといい構図といい目新しい描き方になっているのが格好良いです。

対する千手丸は機械仕掛けの6本の腕のうち4本を束ねてその指を長く伸ばし、残り2本の腕で赤い糸をぐるぐる。
「なんか知らんことやり始めたぞ〜〜〜!!」と、こちらもテンションが上がってきました。(笑)

降り注ぐ「光の雨」が着弾し煙が晴れると、優雅に赤い和傘を回す千手丸の姿が。
「リヒト・レーゲン」という音だけで「光の"雨"」の意を汲み取った上で (BLEACHキャラ特有の謎語学力)、即席で傘を編んで防ぐというのがなんともお洒落です。
「光の雨」を「春雨のよう」と煽ってみたり、死覇装の仕立て屋の立場から「衣が濡れるのは好かぬ」と言ってみたり、先の「烏の行水」もそうでしたがいちいち言うことが小洒落ていて、ここへ来て千手丸というキャラの魅力を初めてちゃんと認識できてきた気がします。

決着

これまたどういう原理なのか、千手丸は傘の上で転がしていた「光の雨」の霊子の粒を雨竜に向けて発射。
雨竜は躱しきれずに数発喰らって落下しそのまま敗北となりましたが、致命傷というほどのダメージには見えませんでした。
次話の卍解といい、千手丸、何故に雨竜にだけちょっと優しいのか。


王悦 VS ナックルヴァール

この戦いはほぼ原作通り。
原作と違って気になった点としては、ナックルヴァールが飲んでいた血が首ではなく眉尻から出ていたことと、ナックルヴァールの霊弓の本体 (灰色の部分) の材質そういう感じなんだ……というところくらいでした。


その頃の瀞霊廷

ジジとバンビ

う〜んドン引き。

バンビから血を吸っているジジの目が赤かったのが気になりました。
ジジ自身も能力で生き永らえているだけのゾンビ (死者) で、失血時には自分が能力で生み出すゾンビと同じように目が赤くなるとか、そういう描写でしょうか。

それにしても、お腹って噛みにくそう。

聖別されていく滅却師たち

改めて、悠木碧さんのリルトットの声、松岡さんのエス・ノトばりにどっから出てるのか分からん発声しててすげえな……などと思いつつ、これまでクールだったリルトットが声を荒げるシーンはCVが付くと一層格好良く感じました。

ロバートの最期のシーンはまさかのカット。
追悼イラストは上がっていたのでちゃんと死んでいるようですが、僕が忘れているのでなければロバートは名前と聖文字を紹介するカットインも出ていなかったはずですし、あえてカットしたということは第3クール以降でまだ出番があるのか……?

ロバートの他に、小説で生存が確定しているキャンディスとミニーニャ、原作でまだ出番があるナジャークープも追悼イラストが上がっていました。
キャンディとミニーについては終戦後にマユリが死体を回収して蘇生させたということで説明がつくにせよ、ナジャークープが次クールでどういう扱いになるのかが謎です。

聖別された滅却師の死に方

原作第682話 (単行本74巻収録) にて竜弦が『"聖別"にかけられた滅却師は全て 心臓に銀の血栓ができて死ぬ』と語っています。
ご丁寧に「全て」と付いており、少なくとも竜弦はそう認識しているようです。

一方、原作ではロバートとジェラルドだけが聖別された瞬間に骨になって死んでいます。
合わせて考えるに、竜弦も認識していないごく特殊な例として「肉体ごと徴収されて骨になって死ぬ」があり、何らかの裏設定 (ロバートがジェラルドと同じく何らかの形で霊王と関連しているとか) の示唆なのかと思っていたのですが。

……アニメで普通の聖兵も骨になって死んでいて、これもよく分からなくなりました。
そもそもバズビーなんかは聖別直撃してるのに死んでなかったりしますし。
3〜4クール目で何かしら説明が入るんですかねぇ。


和尚 VS ユーハバッハ (Bパート)

聖別

一文字の能力で力を削がれたユーハが自分自身に力を与え直すシーンから上手く聖別に繋げてきました。
詠唱を追加したり壮大なBGMを合わせたりと劇的に演出し、聖別が物語上でも重要な意味を持つ力であることを印象付けるような描き方にしてきたのがお見事。

原作でも描かれていた「力を奪う光の柱」が大本では巨大な光の輪に繋がっていて、血装の紋様のようにも見えるのが面白いデザイン。
また、敵陣営が無慈悲にも仲間を犠牲に復活して形勢逆転という場面で、分配される力が「雨」(BLEACHにおける悲劇の象徴) のようになって降り注ぐという演出もニクいです。

発動時には完聖体と同じく鐘の音が鳴っていました。
鐘の音は完聖体発動の効果音というよりはユーハバッハの力を引き出しているという意味合いなのでしょうか。

聖別の詠唱

詠唱が付くとは思っていませんでした。しかも日本語。
ドイツ語でないことに設定上の意味があるなら、性質的には滅却師よりも霊王の方に近い力だから?
詠唱中に登場する「アドナイェウス」、調べてみると「アドナイ」はYHWHの元ネタになった神様の別名の一つらしいです。

ちなみに、スペルが知りたいと思いNetflixの英語字幕を確認したら、「アドナイェウスの棺」は「The coffin of the gods」となっていました。
意味ありげな固有名詞が一般名詞に置き換えられちゃってるし、唯一神なのに複数形 (gods) でいいのか。

復活した親衛隊

原作では光輪がなく翼の形状も一律な完聖体モドキだった復活親衛隊は、アニメでは光輪と翼のみの簡易版とはいえ正式な完聖体に。
ハッシュヴァルトと雨竜が完聖体になっていないのは、滅却師として特殊な点を持つこの2人には完聖体はないということなのでしょう。

ペルニダの翼の形状 (手を模している) は今回が初出でした。
せっかく翼が新しくデザインされたので、マユリ戦で正体が明らかになってから改めて完聖体で戦うシーンが追加されたりするんですかね……?
どちらかというとなさそうな気がしますが。


Cパート:京楽と浮竹

浮竹の「神懸」、滅却師が使う影の術とは違ってざわざわしていて不気味な雰囲気。
単眼が開く時に鳴っていた鈴の音は、聖別時・完聖体発動時の鐘の音と対になっていたりするのかもしれません。

京楽の台詞が原作の『四十六室までね』から『一杯引っ掛けにね』に変更されていました。
第3クール告知PVに藍染の封印を解く鍵穴が映っていたのを見るに京楽の行き先が変わるわけではなさそうですし、次のクールまで引っ張ることになるから表現を変えただけ?


次回予告

誰が担当するか気になっていた次回予告、まさかの千手丸。
初見時は意味が読み取れませんでしたが、卍解の能力の示唆になっていたんですね (白栲=白い布の意で、白栲の野に骨と成り果つ → 死んだ敵が反物の柄になる) 。


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第25話の感想は以上です。

そして第26話の感想はまだ書き始めておりません。
来週いっぱいまで掛かるかなぁ……。もうひと頑張りします。

(2023/11/01:「聖別の詠唱」の項を微修正。)
(2023/11/04:「千手丸 VS 雨竜 > 決着」「ジジとバンビ」「聖別された滅却師の死に方」の項を微修正。)

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