アニメ「BLEACH 千年血戦篇」 第14話「THE LAST 9DAYS」感想
第1クールの放送が終わってからの半年間、何だかんだであっという間でした。
第1クールの時は諸事情で (大した諸事情ではない) 感想を書くのを途中で断念して記事も削除してしまったのですが、第2クールは毎週コツコツ感想を書いていけたらと。
第4クールまで全話の放送が終わった時に第1クールの感想記事だけ無いというのはなんとも締まらないので、第2クールの分と並行で簡易的にでも書こうかどうしようかと悩んでいるところ。
何はともあれ、今回は第14話「THE LAST 9DAYS」の感想です。
原作既読のため、物語の感想よりもアニメで追加されたシーンや演出に関する感想がメインになります。
先の展開および小説「Can't Fear Your Own World」のネタバレが含まれますのでご注意ください。
第14話「THE LAST 9DAYS」
アバンタイトル
ユーハバッハ誕生のシーンからスタート。
原作のマスキュリン戦の後に明かされた設定を反映しているものの描写は大部分がオリジナルで、おびただしい数の手、「ユー・ハー・ヴェー・ハー」の大合唱、分け与えた魂の欠片からユーハバッハへ吸い上げられていく力の流れの毒々しい赤色と、中々におどろおどろしさを感じる光景でした。
人々の手のひらの中央に魂の欠片が輝いている様は、ビジュアル的にはペルニダやミミハギ様を彷彿させるものがあります。
プチ考察:ユーハバッハの出自
最初のシーンがあからさまに精子→受精卵なのに卵子にあたるものが見当たらないのも奇妙ですし、その後出現した「母」らしき存在が臍の緒を通じてユーハバッハの体内に吸収されているのが意味深。
これ、ユーハバッハにも血の繋がった母がいたとかではなく、「母」に見えたもの自体がユーハバッハの一部だったという描写に見えます。
小説「Can't Fear Your Own World」III巻のP217にて、ユーハバッハとは「霊王から千切り堕とされた『力』が人の形となって顕現したもの」であるという説が語られています (未確定) 。
今回のシーンを見た感じでは、上記の説が正しくて、霊王由来の「力を与える力」そのものが自分自身に命を与えたことで生まれたのがユーハバッハなのではないかと予想しています。
(「力」が単独で意志を持って行動するというのはリジェやジェラルドでそれらしき現象が見られていますし)
プチ考察からの妄想
和尚戦でユーハバッハが見せた「失った力を自分で自分に与え直す」という不条理な芸当についても、何故そんなことができるのか、上の考察が正しいとすればしっくりくる気がします。
ユーハバッハが扱う「力」は人間としてのユーハバッハが生まれる前からある厳密には別個の存在であり、「力」自体の名称は「ユーハバッハ」ではないので、ユーハバッハの名前や能力が失われても「力」は失われずに呼び出せる、と。
オープニング
第1クールよろしく今回はシアン+モノクロの映像で来るのかと思ったら全く違う方向性で攻めてきましたね。
一護、白哉、エス・ノトなど一部のキャラはKlub Outside (久保先生のファンクラブ) のGraffitiのコーナーで公開されていたイラストの衣装を着ていてテンション上がりました。
あと、バーテンダー姿の七緒ちゃん、良い。
「ヘリコプターで雨竜を迎えに来るユーハバッハ」に代表されるようなトンチキな場面もありつつ、サビ部分では本編で描かれる戦闘を対戦カードはそのままに比喩的な描写で見せているのがハイセンス。
ラスト付近で一護はダブルネックのギター (滅却師でもあるので弦楽器) を二刀斬月に、雨竜はバイオリン (「弓」を使う弦楽器) を霊弓に見立てている場面などはイカれたイカしっぷりでした。
OPテーマ「STARS」は、イントロ・アウトロのドンドコドンドコ鳴ってる部分が耳に残り、サビの泥臭さ (という表現で正しいか分かりませんが) も格好良い。
作品や映像とも合っていて好きです。
霊王宮:一護と和尚
和尚の零番離殿
原作でも建物の中は描かれていたものの、周りの風景が描かれるのは初めてでしょうか。
岩山が並んでいてその頂上に建物があるんですね。仙人でも住んでいそうな雰囲気。
さらっと離殿の正式名称が出ないかなと期待していたのですが、「兵主部の離殿」て。
出すタイミングがなかった原作はともかく、何故ここで伏せる!?
儀式
Bパートでは一護の修行シーンがスタート。
先日YouTubeのジャンプチャンネルで配信された「Krew beInside」第1回でも言及されていて、第2クールでかなり楽しみにしている部分の1つです。
今回のオリジナル部分のうち一護が台座に二刀斬月を置くシーンは、原作で今話範囲の次の回の冒頭にあった「修行を終えた一護が台座に置かれた二刀斬月を取るシーン」に繋がるわけですね。
「和尚が目を向けたらいつの間にか一護の手に木刀が握られている」シーンは、和尚VSユーハバッハ戦での「刃か筆か区別がつかない」という描写に通じる超常現象感がありました。
小説CFYOWのI巻の冒頭にて、和尚はもしもの時に一護を霊王にするつもりであったことが判明しているので、これから行われるのは最終的に一護に霊王たり得る性質を身につけさせる儀式であろうと思われます。
Krew beInsideでの久保先生曰く、一護の修行シーンは「漫画映えしなさそうなので原作では描かなかった」とのこと。
原作の一護も設定上はこの修行を経ているということになるはずですが、一護は結局、京楽が言っていたような「現世に影響を及ぼす」類の力を身につけていたのかどうか。
設定的にも映像的にも面白いものが見られそうで、次回以降への期待が高まります。
見えざる帝国
かっぱあああ〜〜〜
……されたイケメン滅却師、何故金髪に……?
第14話を見る前に公式Twitterに上がっていたイラストの方を見てしまい、しばらく「誰!?」となってました。
バンビーズ
リルトットとジゼルは今回が初ボイスでしたね。(キャンディスはアニメに先駆けてブレソルで実装済み)
リルは想像より少し低めのガラガラした声で何だかクセになる感じ。
ジジは想像通りの声でした。マユリやクールホーンとのやり取りがどういう演技になるのか楽しみ。
演説後の騎士団員たち
原作とは異なり、バズビーらの名前と聖文字を紹介するカットインは出ず。
確かにアニメだと会話シーンで次々カットインを出すとクドくなるし、演出としても戦闘シーンで個別に出した方が格好良いし、という判断でしょうか。
ナックルヴァールの「落ち着いてるよォ〜〜〜」が想像してたのと違うアクセントで面白かったです。(笑)
ユーハバッハと雨竜
千年血戦篇における最も大きな謎の1つである「雨竜が聖別を生き残った理由」について、原作では「お前には私の力を超える何かがある」とユーハバッハもその理由を明確に知らないような口振りだったのに対し、アニメでは「お前が生き残ったのには理由がある」という台詞に変更。
雨竜の方にも、宗弦の手記を読んで「自分が何者なのか」を知ったという台詞が追加されていました。
約1年半前の時点ではKlub OutsideのQ&A286で「(雨竜が生き残った理由については) ややこしい設定があるんだけど、構成次第ではアニメ千年血戦篇で出るかも」と回答されていましたが、今回の台詞からして設定を明かす構成で決まったとみてよさそうで、今から楽しみです。
アイキャッチ
用語説明「始まりの子」
アバンタイトルでも描かれたユーハバッハの出生と能力について、今度は文章で説明。
これでマスキュリン戦の後のシーンで語られることはほぼ描かれてしまったので、本編ではその辺りのシーンは改めて説明されることはないんですかね。
「始まりの子 (BABY OF ORIGIN)」、モチーフ的に当然といえば当然ながら、宗教色を感じる響き。
用語説明「聖文字」
ロイドのところに「L」と書いてあって、お前の聖文字は「Y」だろとツッコミを入れていたのですが、今日 (7月12日) 公式サイトを見に行ったら直ってました。
説明文では「聖文字が不明な騎士」としてわざわざシャズ・ドミノへの言及が。
OP映像でもドミノっぽい演出があるし、これはオリジナル展開でシャズ・ドミノがキーパーソンになってくる可能性が……!? (ない)
いや、「13BLADEs.」収録の小説で明かされた「シャズ・ドミノの聖文字は『Ϛ (スティグマ)』」という設定、こと陣営ごとに言語を分けているBLEACHにおいて急にギリシャ文字が出てくる異物感がどうにも受け入れ難いんですよね……。
アニメで良い感じに補完なり軌道修正なりしてくれないかなぁなんて。
束の間の平和
虚圏:浦原サイド・ネガル遺跡サイド
浦原がメダリオンの解析を進めている描写が少し追加されていて、こういうのが地味に嬉しい。
ペロちゃんは名前だけ出たものの、ここで登場しないならもう出番はないか?
原作のこのシーンでは織姫の髪型がちゃんと見えるコマが少なかったので意識していませんでしたが、髪を後ろで結んだ織姫、ちょっと大人っぽくて素敵。
折角アニメでは色んな追加シーンを入れているので、ここで修行してる組にも見せ場が増えていたら嬉しいのですが。
雪緒とリルカもちょろっと登場しましたね。
霊王宮:ルキア&恋次
ルキアの伝令神機の着信音、懐かしいな!!
カットされた千手丸のくだりは次回以降のどこかに差し込むんでしょうか。
その他
啓吾・水色・たつきと「仮面の軍勢」現世残留組はアニメ千年血戦篇ではようやくの初登場ですかね。
遊子と夏梨も第1クールから台詞がカットされがちな中、遊子の調理風景から続く一連のシーンをカットする代わりに食卓のシーンを追加してくれたのは良いオリジナルでした。
第二次侵攻開始
風車の回転が止まると共に「平和な時間」が終わりを告げるという演出が洒落ています。
瀞霊廷が「見えざる帝国」に塗り替えられていくシーンのカメラワークもダイナミックで迫力がありました。
ユーハバッハの台詞「世界が終わる9日間だ」(さりげなく格助詞が「の」から「が」に修正されてる) の後にサブタイトルが表示される原作再現演出は、アニメだとより映えて格好良かったです。
エンディング
EDテーマは神山羊さんの「Endroll」。
何ならオープニングに使ってもよさそうなくらいアップテンポで格好良い楽曲で、サビのメロディも好みです。
映像の方は、第1クールとは対照的に滅却師側をフィーチャー。
サビ部分の影の中に潜む滅却師たちの描写が秀逸で、来たる戦いに備えて虎視眈々と爪を研いでいた様子をこういう風に描いてきたか!と膝を打ちました。
死神たちにとっては「何も知らずに平和に暮らしていた時間」であり、再び戦いが始まってしまう本編の展開を見た後だと切ないような苦々しいような気持ちも湧いてきます。
次回予告
もちろん声が聞こえる前に灰猫の鍔の形で乱菊と分かりましたとも。
内容は日番谷&乱菊 VS バズビー戦の予告ですね。
「凍てつく」というどちらかというとネガティブな印象のある言葉を、日番谷が共に戦ってくれることの心強さというポジティブな意味で使っているのが面白いです。
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今回の感想は以上です。
第1クールの簡易感想は、気が向いたら近いうちに……。
(2023/07/13:細部の表現を修正)
(2023/07/16:第15話を見る前にエンディング映像の感想を加筆修正)
(2023/07/17:「Krew beInside」の表記が「BeInside」になっていたのを修正)
(2023/09/07:今更ながら1文字だけ修正)
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